やってもやっても
追いつかない。
それがこの仕事の面白さ。

繁殖担当

野村 亮

RYO NOMURA

2016年6月入社

奈良県出身

内陸県育ちの海に対する
憧れが出発点

私の地元の奈良県は内陸県ということもあって、誰もが海に対して少なからず憧れを抱いているところがあるんですが、 私の場合はその憧れが大人になっても抜けなくて。移住を決心した当時は、前の仕事が一区切りついた時期だったこともあり、 「もし憧れを現実にするなら今しかない。40~50代になったらもう体なんて動かないぞ!」と決断しましたね。

海士町に決めたのには妙なきっかけがあって…。
それも随分前のことで、その日は大阪の飲み屋で酔っ払いながら、憧れの島ぐらしの話をしてたんですね。
そうしたら隣で飲んでたおばちゃんがおもむろに箸袋をメモ代わりに「海士」って書いて「読んでみ?」っていわれて…。
「読めへんけど…「かいし」かな?」って返したら、「ちゃう!「あま」や。「あま」ていうねん。 ええ島やからいっぺん行ってみたらええわ」って言われて。

…ただそれだけの話なんですが、その「海士(あま)」 って言葉だけすごく覚えてて、 本当にそれがきっかけで第一候補地になったんです。
それから隠岐潮風ファームのことを知って、 初めて中之島(海士町)にやって来て、その30分後には当時の社長にご挨拶に行って、 その1ヶ月半後には潮風ファームの一員になっていましたね(笑)

野村 亮

この島で働けるだけで大満足

畜産の経験どころか、牛にも海士町に来て初めて触りました。
ここはファームに入ってから牛に触ったって人が多いんですよ。
そもそも私自身、畜産に興味があったと言うより、海士町で働けるなら何でもOK!という心構えでやって来たので、 戸惑いもなにも「この島で働けている」という充実感が勝ったような感じです。

野村 亮
野村 亮

簡単にやりがいを
得られないから
やる気になれる仕事

牛のお産は昼も夜もお構いなし

一貫経営の潮風ファームでは、繁殖から肥育、食肉出荷までをひとつの流れとして取り組んでいて、 その中で、子牛と母牛を世話する繁殖部門と、隠岐牛を生産する肥育部門の2つがあり、私がいるのは繁殖部門です。 繁殖部門の朝は早くて、朝5時半には出社して餌やりから仕事が始まります。
他にも、例えば前日夕方に発情した牛がいる場合は種付けの仕事もありますね。
統計的に発情から何時間後、みたいなものがあるんですが、早すぎてもだめだし遅すぎてもだめなので、しっかりと排卵のタイミングを見計らっておこないます。
種付けは、家畜人工授精師という牛専門の国家資格がないとできませんが、排卵のタイミングは…まあ、こればっかりは見たら分かるとしか説明のしようがないですね(笑)
仕事に慣れていくに連れて分かるようになっていったんじゃないかな。
そして種付けの後にはお産が待ってます。牛は昼夜関係なく年中産み続けるので、だいたい2日に1回のペースで立ち会ってます。
繁殖のスタッフはスマホや端末を使って牛舎の監視カメラが常にチェックできるので、どこにいても駆けつけられますが、夜のお産は基本的に全員出動して対処していますね。
大変なのは海士町には獣医がいないことでしょうか。しかも、隠岐諸島で獣医師のいないのは中之島(海士町)だけなんですよ。
もし何かあっても治療行為も出来ません。そういう場合は電話で獣医師の指示を仰ぎながら、私たちのできる範囲で対処したり。帝王切開が必要になった時などは船を出して獣医を迎えに行ったり。
年に1度くらいはそういうこともありますね。

隠岐潮風ファーム

この仕事って、「やりがいがないことがやりがい」じゃないかなと考えてます。
牛には当然個体差もあるし、それぞれで毎日の状態も変わってくる。
とにかくやってもやっても追いつかないので、達成感があるようでないみたいな、そういう牛との微妙な駆け引きのすべてがやりがいといえるかも知れません。
種付けひとつとっても、同じ母親から同じ種で生まれた子でも、全然違ったりしますから、そういう部分が面白い仕事なんですよね。
種の選択肢もいろいろとあるので、母親の系統とか、父親にはこういう能力があるとか、組み合わせは数え切れないほどありますが、それを考える暇もないくらい仕事に追われていますけどね。

野村 亮

生産の質を高めていくことで、
生産性の向上を目指す

今よりもっと生産の質を高めていくことを目標に掲げています。例えば、2年に1回しか産まない牛より、年に1回産んでくれる牛を増やして、生産性を高めていったりとか。
牛を取り巻く環境も日々変化していくし、そこに様々な要素が関わってきます。
具体的には、人の妊娠期間が十月十日とすると、牛はその1ヶ月くらい短い、およそ280日前後で出産します。
だからその280日後にうまく種を付けられれば、年に1回の出産が可能になるわけです。
そういうタイミングとか計算とか、それだけでなく、しっかり飼育しているか、とか、いろいろと難しい問題があるので、もっと技術を上げていく必要がありますね。

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